■ 平成19年8月 竜飛岬から白神山地
思い込みとか勘違いということは実に恐ろしい。初めて十和田湖に行った時、秋田県側の発荷峠から見た湖が何とも言えず美しく。以後、十和田湖は秋田県と思い込んでしまっていた。HPに都道府県別の写真をアップしてあるのだが、秋田県は徳島県とともに写真が少ない県のひとつだ。
今夏は九州か東北か迷っていたが、九州は直前の台風の影響が懸念されたので東北、それも龍飛岬と決めただけの旅の計画であった。インターネットで宿の検索をしているときに東北の祭りに気づき、今回は盛岡、弘前、秋田に宿を決めた。弘前から秋田に向かう際には、白神山地を走り抜けた。
8月1日午前2時出発。東京外環道から東北道、オートドライブでエンジンを2000回転にセットする。最初の見学地は花巻市にある宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の詩碑。かつて賢治が暮らしていた羅須地人協会 のあった跡地に石碑がある。文字は高村光太郎によるもの。
次いで宮沢賢治記念館や北上川の西岸にあるイギリス海岸 や花巻新渡戸記念館 などを見た後、県立花巻農業高校の敷地内にある羅須地人協会 (写真)を見学した。玄関にある伝言板には「下ノ畑ニ居リマス」 の文字が記されている。
再び東北自動車道で盛岡に向かう。岩手公園(盛岡城跡公園)ではさんさ踊り のコンテストが行われていた。歴史的建造物の岩手銀行中ノ橋店や啄木・賢治青春館、上ノ橋の欄干に国指定の重要美術品である擬宝珠 の現存している様を観ることができた。夜は、太鼓絵巻ともいうべきさんさ踊り をゆっくり見学した。
2日目はホテルを出て青森ICを目指した。青森からは陸奥湾に面した国道230号線で龍飛岬を目指す。外ケ浜町の平館灯台 は国道沿いにある珍しい灯台である。海を挟んで下北半島を望むこともできた。津軽半島の北部にある高野崎 は風光明媚な海岸線であるが風が極めて強く、灯台の脇から下に降りる遊歩道も恐々であった。
一路、弘前に向かうために津軽半島の日本海側を南下。途中十三湖 に立ち寄り、湖越しに遠く岩木山(津軽富士)を望むことができた。弘前市のホテルでチェックインを済ませたのだが、このホテルの前の通りが今夜のねぷたまつり の会場になっていた。ホテル前の駐車場はまつりの運営にあたる会場となっていた。夜は2時間に及ぶ「ねぷた」の行列を見ることができた。
弘前市内の見学。最勝院 の五重塔は、最北端の地に位置する国の重要文化財に指定されている。早朝であったにも関わらず外国の方が見学に来ていた。弘前城 のある弘前公園は広い。自転車があると便利ではないかと思う。追手門、南内門を経て天守閣へ。季節は違うが桜が多く、時期になると花見客で賑わうと思われる。
その後、旧弘前市立図書館やミニチュア建造物、青森銀行記念館などを見学し、日本海側に抜け男鹿半島を目指す。どのルートで行こうか迷ったが最終的に白神山地越えを選択。
国道28号線で西目屋村から岩崎に抜ける白神ライン は、36Kmに及ぶ砂利道で道幅も狭い。走るのにはそれなりの根性がいる。途中、すれ違う車にヒヤヒヤしながら、それでも津軽峠ではマザー・ツリーや展望所で世界遺産を味わうことができた。無防備と思われる女性ドライバーの運転する車に出会いながら、いくつかの峠を越え、舗装路になったころ十二湖 があった。深い緑の色をした小さな湖沼が33あるという。
日本海側、国道101号線を南下して男鹿半島 に入る。昔の八郎潟を干拓し、現在は大潟市となっている。道は直線、100Kmで走れる道路が続くが慎重に走る。
男鹿半島北端の入道岬 は、北緯40度線上にあり、緯度を示すモニュメントが点在している。しばらく周囲の景観を楽しんだ後、入道岬が見渡すことができる八望台 から、一の目潟、二の目潟と呼ばれる珍しいカルデラ湖を観ることができた。
男鹿半島から次に秋田市に向かう。途中、八郎潟の調整池と海を隔てる堰を見学した。ずいぶん大規模な干拓事業だったことが想像できる。
秋田市に着くとすでに会場となる道路周辺では準備が進んでいる。芸能伝承館ねぶり流し館 を見学した後、会場となる道路の歩道に観覧場所を確保する。約2時間の待ち時間があったが、竿燈の見事さを十分に味わうことができた。
この日は、角館にホテルを予約してあったので、ホテルに電話をして遅い時間にチェックインした。近くの飲食店は閉まっており、コンビニに買出し。疲れている胃にはやさしい食事であった。
ホテルで目を覚ますと外は雨。それもかなり激しく降っている。九州方面にあった台風が日本海を北上し東北地方に雨雲をもたらしている。天気図からも天気が回復しないことがわかる。
角館は武家屋敷 が有名。この雨で外を歩くのは困難だが、写真だけでも撮ろうと武家屋敷通りに向かう。車を降りるのもためらわれたが、町並みを撮るために何枚かシャッターを切った。暗いのでシャッタースピードは遅い、重ねて雨で靴はもとよりカメラも濡れてしまう。早々にあきらめ、スタンドで給油して田沢湖に向かう。
今回の旅はここで終了。ナビを自宅にセットして田沢湖を後にした。