暇な爺 旅の記録

■ 平成21年 夏 九州一周

政権が代わり、日曜日などの高速料金が距離に関係なく最大1000円となった。夏休みを利用した九州へのドライブを計画した。まだ行ったことのない平戸島、国東半島などを目的地に加えた。過去の写真はフィルムで、ネガの保存状態も良くない。今回は、デジタルをメインに相当数のシャッターを切る目的もあった。東京から九州へのドライブは、過去3回ほどあるが、今回は妻と二人だけの旅となった。

寄り道 桂浜へ

寄り道
東京から順調に走り、途中で仮眠をとりながら西に向かう。最初の見学地を吉野ヶ里遺跡に予定していたので、このペースでは早すぎる。理想は開園時刻に吉野ヶ里遺跡の駐車場に入ることだろう。しかし、あまりにも時間が早く、これでは夕方には九州に入ってしまう。そこで、倉敷から瀬戸大橋に入り、高知城を見学し桂浜を目指した。

桂浜
瀬戸大橋が完成した時に走って以来、倉敷からは2度目の四国入りとなった。四国も高速道路が整備され、太平洋に出るまでは3時間程度であった。陽が昇り明るくなった頃、桂浜に到着。さっそく坂本龍馬像を拝観し、竜頭岬から桂浜の景色を堪能した。浜に寄せる海水としばし戯れ桂浜を後にした。

再び山陽自動車道で九州に向かう。門司の手前で睡眠をとり、早朝に九州自動車道に入った。福岡〜太宰府間が、先週の大雨による土砂崩れで通行止めとなっていた。福岡都市交通で大きく迂回し、長崎自動車道の東背振インターを目指した。

吉野ヶ里遺跡・平戸島

吉野ヶ里遺跡
平成15年に佐賀県の武雄を訪れており、帰路の電車の中から吉野ヶ里遺跡をかいま見て見学したいと思っていた。念願の吉野ヶ里遺跡に到着し、中に入ると、その広さに圧倒された。楼閣や高床式建物、環濠跡などが広い範囲に復元されている。いくつかのエリアごとに建物が復元されているが、物見櫓に登った時の風が心地よかった。古代を感じさせるに十分な遺跡だと感じた。青森県の三内丸山遺跡よりもスケールが大きい。

平戸島
498号線で平戸島を目指す。平戸島大橋を渡り、平戸ザビエル記念聖堂を見学した。教会と近くの寺の屋根が一緒に見える、不思議な景色でもあった。平戸城や重要文化財のオランダ橋などを見学した。五島列島の島々と同じように、隠れキリシタンの教会が散在している島である。
この日は長崎市内にホテルを予約してあったので、早めにチェックインするため長崎に向かった。

長崎〜熊本

長崎市内
長崎市内の見学。長崎は3回目の訪問である。ホテルを早めに出てオランダ坂を確認し、大浦天主堂を見ながらグラバー庭に向かった。開園時刻よりも前に着いたので、近くの店で買ったお茶を飲みながら休憩。そして、記憶をたどりながらグラバー庭を見学した。いつもながら、記憶というのは実に曖昧である。それでも「懐かしい」と感じられることは「うれしい」ことでもある。その後、復元された出島やミニチュアの出島を見学して平和公園に向かった。

長崎平和公園
本当に久しぶりの平和公園という感じだが、ずいぶんと整備されたという印象をもった。平和記念像の周辺では、記念式典の準備が進められていた。長崎の鐘平和の泉などに加え、世界各国からの展示物がたくさんあった。
平和公園から少し歩くと、爆心地を表している碑がある。大浦天主堂の残った壁と合わせ、2本のそびえたつ建造物に思いを馳せた。地下の遺構にも目を留め、しばらく見入った。

長崎市を後に、熊本城を訪れた。整備された公園の中に、雨上がりの天守閣がどっしりと構えていた。

指宿・知覧

指宿
指宿の宿で砂湯に入った。以前に来た時は砂浜での砂湯だったが、今回は室内での砂湯となった。衛生管理が大変だろうなと感じた。宿を早めに出て、開聞岳池田湖を見ながら知覧に向かう。

平和公園の中には平和会館あり、太平洋戦争の際の特攻隊の資料が詳しく展示してある。海底から引き揚げた飛行機(写真)などを目にしたり、両親などにあてた手紙を読むと心が痛む。見たくないが、避けることのできない現実を重く受け止めなければならないだろう。その後、武家屋敷跡などを見学して鹿児島市に向かった。

鹿児島市
途中、鹿児島湾に浮かぶ桜島が見え隠れするが、天気が悪くなかなか姿を見ることができない。市内に入り、庭園で有名な仙巌園を見学する。仙巌園は島津家の別邸であり、中国文化の影響を受けた庭園だとのこと。隣接している尚古集成館にも立ち寄り、当時を偲ぶことができた。
錦江湾から桜島を間近に見ることができたが、車の屋根やフロントガラスには火山灰が積もっており、桜島の影響が大きいことを感じた。

鹿児島を後に、宮崎に向かう。目的地の青島を訪れたのは30年以上も前であり、大変懐かしく感じた。青島神社にお参りし、今夜の宿泊地、延岡に向かう。

高千穂峡・阿蘇

高千穂峡
朝、起きると外は雨。過去に来た阿蘇からの道を逆に走り、高千穂峡を目指す。高千穂についても雨が上がることなく、むしろ激しくなってきた。高千穂峡に注ぐ小さな滝の水の量も増え、散策路に溢れている。その後、高千穂神社天岩戸神社から、天安川原(あまのやすかわら)宮に参拝し、独特な雰囲気に浸ることができた。高千穂を跡に、次の目的地の阿蘇に向かった。

阿蘇の外輪山を走っていると晴れ間がのぞき、阿蘇の山々がきれいに見えた。草千里から山頂を目指したが、ロープーウェイ乗り場までくると天気が一変し、霧で周囲が見えなくなってしまった。ここであきらめるわけにもいかず、火口を目指して車を向けた。一面の霧と雨の中で、写真だけ撮った。30年前に来たときも雨で、再度挑戦したことを思い出す。
阿蘇を降り、今夜の泊まる湯布院を目指す。途中、日本最大の吊り橋がある九重渓谷に向かい九重夢大吊橋を、私は少し、妻は往復することができた。迫力満点の吊り橋でした。

別府温泉・国東半島

別府温泉
ホテルはこじんまりしており快適に過ごすことができたが、会計が現金だけとは今一。近くにある金鱗湖を散策し、別府温泉に向かった。以前に来た時の写真の記憶から、地獄めぐりを始めるが、記憶がおぼろげで、結局、海地獄血の池地獄を回った。別府温泉はもう少し大きな街のように記憶していたが、案外小さな街だった。記憶はあてにならない。

国東半島石仏巡りは今回の大きな目的。臼杵石仏を皮切りに、熊野磨崖仏などを見て回った。また、富貴寺の国宝:阿弥陀堂、文殊寺など、この地独特の文化を十分に堪能できた。最後の見学地、宇佐神社にお参りして、今回の九州の旅を終えた。

九州自動車道「小倉東」インターに入り、翌日、中央高速道路「八王子」インター料金所で「1600円」の表示が出た時は感動でした。八王子から高井戸までは、別料金の600円が含まれている。