暇な爺 旅の記録

■ 平成29年 黒部アルペンルート

平成29年5月、立山の大谷にある巨大な雪渓を見たくて2日間のツアーに申し込んだ。昨年の沖縄に次いで2回目のツアー参加となった。申し込みを済ませ、出発の1週間前に旅程表と集合場所を記した用紙が届いた。集合は東京駅八重洲北口、午前7時15分。帰路は東京駅10時30分着という目いっぱいの旅程である。残念ながら天候に恵まれそうもなく、この2日間で梅雨入りになるという予報が出ている。

1日目 宇奈月トロッコ電車

MAXトキ
6月7日、東京駅から信越線のMAXトキに乗車なのだが、出発時刻にある掲示と添乗員からもらった座席表に帰された列車番号が異なっている。座席表の記載が間違っているのは明らかだったが、いきなり添乗員に不安を覚える出発となった。このMAXトキという列車は2階建てで、指定された座席は1階なので、見晴らしはすこぶる良くない。トンネルの多い路線なので、景色を堪能するということもない。越後湯沢で降り、宇奈月までは高速道路でバス移動。どうも、相当コスト的に厳しいツアーだと想像された。
車内でオプションの弁当を食べ、宇奈月には午後1時ころ到着した。天気は良くない。トロッコ電車の時刻を待つ間、平成6年に来た時に撮った写真の場所を確認した。記憶というのは不明瞭で「確か、このあたりで」となる。
トロッコ電車
トロッコ電車が小さいのに驚いた。軌道は新幹線の半分程で、すごく狭く感じられる。かつては無かったであろう、窓付きの車両と窓のないトロッコの2種類の車両が6両ずつ、12両の編成で先頭の機関車は2両仕立てであった。添乗員から窓のある特別列車を申し込むこともできるとの説明があったが、往路はトロッコで行き、その様子で帰りを考えることにした。宇奈月から終点の欅平までは90分だが、帰路の関係から60分程の鐘釣という駅で降りて引き返すとのこと。 走り出したトロッコはゴトゴトと乗り心地が悪い。しばらく走ると黒部川の景色が現れ、その美しさを堪能することができた。鐘釣駅で降りたが、周辺には見るべきものが無い。本来ならば、川に穴を掘って温泉を楽しむこともできるようだが、増水のため川まで降りることは禁止となっている。傘をさして行ける所まで行ってみたが、規制線が張られており駅に引き返して時間の過ぎるのを待った。寒かったので帰路は窓のある列車を希望したが、空席が少なく抽選の末トロッコで帰ることになった。
ホテル・・・・・
宇奈月から大町を経て、白馬にある栂池(かごいけ)高原ホテルが今夜の宿泊。スキー場にあるホテルと聞き、いやな予感がした。案の定、スキー教室で使うような格安なホテルで、食事も今一であった。近くの店で酒のつまみを調達し、持参していった焼酎を飲んで夜を過ごした。今までの記憶では、ここまでの宿はなかったとように思う。格安ツアーでオプションのホテルがある時は注意が必要だろう。

2日目 黒部アルペンルート

扇沢 〜 室堂
黒部アルペンルートは、トロリーバス、ケーブルカー、ロープーウェイを乗り継いで行くことになる。扇沢から室堂を経て立山駅までの運賃は相当に高い。そして一方通行なので車の回送をなどと考えると、ツアー料金よりも高額になってしまう。このルートはツアーに限る。まず最初は出発駅の扇沢(標高1443m)から、トロリーバスで、黒四ダムに向かう。黒四ダムは迫力満点であったが、放水は観光用で時期が早いため行っていなかった。今回のメインは雪渓のある大谷ウォークなので、この時期を選んだ。高所の展望台までは280段の階段を登らなければならないが、気合を入れて登ってみた。眼下に見下ろす黒四ダムや周囲の山々の美しさを見ることができた。ダムの上を徒歩で黒部湖駅に行き、ここからはケーブルカーで黒部平(標高1820m)に向かう。黒部平に着くと何やら天気が悪くなってきた。標高が上がるので、だんだんと霧の中に入っていくようだ。黒部平は妻も記憶があり、過去に撮った写真と同じ場所でシャッターを切った。
黒部平からはロープーウェイで次の大観峰(標高2316m)に向かう。小さな駅に着くと、もう完全に雨の中で、ここの展望台からは何も見ることができなかった。バスの出発時刻まで、土産物などを物色したが買うものはなかった。

バスで室堂に向かうが、駅の掲示板情報では悪天候のため大谷ウォークは中止となっていた。室堂(標高2450m)に着いたが、悪天候で視界は限りなく悪い。建物の外に出ることも儘ならず、ビジターセンターで雷鳥や立山の植物を鑑賞した。申し込んでいた弁当を食べ、建物内をあてもなくウロウロと巡って時間の過ぎるのを待った。帰路の集合時刻が近づいたころ、観光案内所で富山方面から室堂に来る方法などを聞いている際、今回の目的が大谷ウォークであることを話した。すると、この建物に隣接した所で、小さな雪渓を見ることができるとのことだった。残り時間は10分程度だが、傘をさして外に出ると雪渓があった。(右の写真)
楽しみにしていた大谷ウォークはできなかったが、雪渓の片りんを垣間見ることができた。添乗員は室堂での飲食物の高額なことを繰り返し説明していたが、建物の近くにこのような場所があることには全く触れていなかった。案内所の女性に礼を告げて、バスの発着所に向かった。

室堂 〜 立山駅
立山高原バスで約50分、一気に美女平(標高977m)を目指す。立山アルペンルートも悪天候で何も見ることはできなかった。美女平でケーブルカーに乗り継ぎ、終点の立山駅(標高475m)に到着。
立山駅に回送してきている越後交通のバスに乗り、帰路の越後湯沢駅に向かう。悪天候のため室堂での滞在時間を少なくしたので、越後湯沢までの道のりは余裕がありすぎ、上越ICから一般道を通るルートに変更した。それでも越後湯沢駅には新幹線の出発時刻の1時間以上前に着き、駅の待合室ですることもなく時間を過した。
帰りの新幹線の中では、焼酎を飲みながら写真やビデオを見ながら過ごした。添乗員から降車駅の案内を聞き上野で降りて、池袋から地下鉄で自宅の最寄り駅に着くルートを選択した。11時30分ごろ家に着いたが、何だか疲れたツアーになってしまったような気がする。格安ツアーの注意すべきことを勉強させてもらった。