暇な爺の世迷言 #1

　還暦を迎えた時、定年後の仕事をどうしようか迷っていた。いろいろ調べたり、先輩諸氏の話を聞いたりして情報を集めた。そして、その当時定着し始めていた「再任用校長」を選んだ。フルタイムで引き続き校長職を続けるのだが、給与は現役の時の７割ほどと減額になる。
　校長職を１０年以上経験しているが、さらに続けるためには多少の気合が必要になる。再任用校長の給与は、他の仕事に比べ高額でもある。そこで、退職記念と今後の楽しみのため、河口湖にあるリゾートマンションを購入した。　窓一面に広がる富士山の姿が美しく、現地の下見に行った妻も気に入ったようだった。山梨県の施策で課税された住宅取得税が、別荘などの条件がそろっており無税となったことはありがたかった。
　在職中に出かけるのは週末が基本だったが、最近はマンションで過ごすことも多くなっている。

　今まで特段の不自由を感じることもなく、ガラケーを使っていた。仕事をリタイヤしたので携帯も必要ないかと思ったが、河口湖に行っている時の連絡手段がなくなってしまうので何となく使っている。しかし、月に数回しか電話をしない私にとって、月々の使用料金を高額に感じている。昔は１回の電話料金は10円だった、などと言うことが古典的らしい。
　そこで、「格安スマホ」というのを調べて購入した。月々の使用料は、今まで使っていた携帯の３分の２程で安い。早速使ってみたが、何一つ不便さを感じることはない。ただし、３日に１度の充電作業には煩わしさを覚える。しばらく使っていると、妻も新しいスマホがほしいというので同じモデルの格安スマホを購入した。夫婦で新しいスマホを手に入れ、使用料金は二人合わせて今までの２分の１となる計算だ。年金生活者にやさしいスマホでもある。
　便利さを享受しようと、カーナビで電話が使えるように２台の車に私と妻用に設定を済ませた。なかなか便利だなどと感心していたが、車を運転している時にかかってくる電話は半年に１回程度。

　定年退職後に、手元にあるキャッシュ・カードを整理した。基本は、年会費が発生するものは全て解約し、必要のない出費を抑える事。そして、年会費無料の新たなカードに目を向けた。今までの仕事の福利厚生で、全国規模と東京都の組織でゴールド・カードを永年会費無料で作ることができるとのこと。妻を家族会員として、永年会費無料のゴールド・カード4枚を手にすることができた。
　少しずつではあるが、インターネット通販でも買い物をすることがある。価格も安くポイントも貯まるようだ。そこで、よく使うショップのカードを新たに作った。新規の会員へのプレゼント・ポイントとか、公共料金の引き落としなどをカードにすることで、信じがたいポイントが付与されてきた。インターネットの買い物も、ポイントが5倍になるような日を選び、獲得したポイントがスマートフォンの使用料金にあてられるようにもした。
　現金で買い物をするよりも、カードで買い物をした方が得策の時代。交通機関のＩＣカードなどをはじめ、キャッシュレスの時代はそこまできているのかもしれない。

　今までは平日の昼間、住宅地を車で走ることはほとんど無かった。最近は平日に、買い物や食事などで車を使うことが多くなった。そして、不意に飛び出してくる自転車の多いことに何度となくヒヤッとした。自宅付近を走るときは極めて低速で、狭い路地から飛び出してくる自転車に気を配っている。
　公務員の知人が、車で自転車と接触事故を起こしたとのこと。幸い大きなけがなどには至らなかったが、知人は懲戒処分を受けた。自転車と車の事故では、どんな状況であれ、圧倒的に車の方が非を多く問われることになる。しかし、狭い道を走っているときに、路地から急に飛び出してくる自転車を避けることは不可能に近い。そんなことから、万が一に備えて、妻の使う車と私の車にドライブ・レコーダーを付けることにした。
　電源はダッシュボードの中にシガー・ソケットを増設し、配線も見えないようにピラーの中に隠して作業を終えた。

　愛車の「86」はトヨタとスバルが共同開発したもので、スバル車のエンジン関係のリコールに含まれていた。トヨタから正式なリコールと修理に関する書類が届き、担当者からも連絡があり修理には３日かかるとのことだった。
　この車は購入当初からトラブルが続き、その都度エンジニアが丁寧に対応してくれた。以前にもテールランプ周りのリコールがあったが、その後も含め、今では信頼しているので任せるしかないのだろう。
　それにしても、車のリコールが多くなったような気がする。昨日はスズキが78万台以上、三菱が９万台以上のリコールを発表していた。車で不正を隠ぺいされたら、怖くて乗れないだろうな。自動車関係のコンプライアンスを信用するしかない。